希望という贈りもの

 名古屋駅前で暴走車による殺人未遂事件が起きました。容疑者は無職だったそうですが、無職の状態にならざるを得なかったとすれば、希望を失った若者による事件といえるかもしれません。
 我が家の大学生の息子たちも、就職に悩む時期となりました。親としては、息子にふさわしい仕事が見つかってほしいと願いますが、ただ、自分の子どもが就職さえできれば良いという問題でもないような気がしています。
 就職できない若者がいっぱいいますし、就職できても労働条件が過酷だったりと、幸せな暮らしというものが、当たり前ではなくなっているのが今の時代です。
 若者の右傾化ということも話題になることがありますが、彼らが戦争をも肯定する気持ちの背後に、戦争になってみんなが不幸になれば、自分だけが不幸という絶望感から解放されるという思いがあるのかもしれません。
 チャップリンは、『独裁者』という映画の中で、Do not despair.「絶望してはいけない」と私たちに語りかけています。
 そして次のように続けます。"Let us fight for a new world. A decent world, that will give men a chance to work, that will give youth a future and old age a security."(「皆でひとつになろう。 新しい世界のために、皆が雇用の機会を与えられる、君たちが未来を与えられる、老後に安定を与えてくれる、常識のある世界のために闘おう。」)
 今こそ、若者が希望を持ち、未来に夢を描ける社会を作っていくために働く時ではないでしょうか?
"In the seventeenth chapter of Saint Luke it is written ”the kingdom of God is within man ” --not one man, nor a group of men ? but in all men -- in you."(『ルカによる福音書』の17章に、「神の国は人間の中にある」と書かれている。 一人の人間ではなく、一部の人間でもなく、全ての人間の中なのだ。 君たちの中になんだ。)
 「宗教の目的は、天国に行くことではない。天国をこの地上に実現することである。」とある人が語っていました。本当にそうだと思います。
 今、この世界に生かされている間は、この世界をより良い世界に、人が生まれてきてよかったと思える世界に変えていくことに全力を尽くしたいものです。そして、そうすることで、希望という贈りものを届ける人になりたいと願っています。