塩害対策としての綿花栽培

 津波をかぶって稲が育たなくなった農地でも、綿なら育つそうです。「綿花を3年間育てれば除塩効果が期待できる」とのことです。この話しを聞いたとき、被災地での綿花栽培プロジェクトを国などが、立ち上げたらよいのにと、思っていました。しかし、そういう兆候すらなく・・・残念に思っていました。
 ところが先日、ある靴下メーカーが、それを始めたという報道に接しました。国が動くのを待つ必要はなかったのです。
 国に何かを要求して、デモをしたり、署名活動をしたり・・・これらも大切なことです。しかし、綿プロジェクトを立ち上げてくださいと国に要求して終わりでは、おそらく変化は起こせないでしょう。要求することと並行して、自分達で種を蒔いてしまえば、それが小さな面積であっても、現実的な変化がそこで起こっているのです。
 インドの独立運動では、大英帝国を揺さぶったのは、デモでも、署名運動でもありませんでした。糸を紡いだり、塩を自分たちで作ったりする、実際の行動が大英帝国に打撃を与えたのです。
 今年、秋田で初めて種を蒔いた時、新潟の仲間も育ててくれているから、失敗しても大丈夫・・と、気楽に考えていました。でも、今回の報道に接して、私の中で本気モードにスイッチが入りました。寒冷な東北の地で、熱帯の作物である綿を栽培することに難しさはありますが、いろいろな工夫をして、なんとしても成功させたいと思うのです。来年以降、被災地での綿花栽培を拡大する上で、お役に立てることがあるかもしれません。秋田で実際に育った綿花から取れた種は、寒冷地向きになっているかもしれません。なるべく多くの種を採取できるように、大切に育てていきたいですね。

 署名活動などと並行して、実際に種を蒔くこです。せっかく署名を集めても、政府が動いてくれなかったら、徒労感を感じてしまうかもしれません。でも、この綿花栽培のように、自分達で実際の行動をすれば、たとえ小規模であっても、わくわくする希望に満ちた取り組みとなります。これは綿だけに限らず、電気など、他のことにも当てはまるはずです。