この最後の者にも

 先日は、安曇野でガンジーさんのお話をさせていただく機会がありました。
 いろいろ話した中で、「この最後の者にも」の部分が特に衝撃的だったようです。葡萄園で、丸一日働いた人にも、最後の1時間だけ働いた人にも平等に1日分の賃金を支払ったという聖書からのエピソードをもとに、ジョン・ラスキンという人が『この最後の者にも』という本を書いています。ガンジーの生涯を変えた本です。
 世の中には、病弱な人もいるし、いろいろな事情を抱えた人がいるのだから、貢献度が10の人がいて、1の人がいても仕方がない。でも、生きていくには1日分の賃金は必要なのだから、能力に応じて働き、必要に応じて分配する社会こそ、本来な社会の在り方だと、ガンジーは目覚めて、弱者優先の社会を築こうとしたわけです。
 安曇野では、日本みつばちを飼っています。蜜を集めてくる働き蜂、門番などなど、それぞれの役割を担っているが、1割くらいは何もしないで遊んでいる蜂がいるそうです。そういう蜂を取り除くと、今度はこれまで働いていた蜂が遊ぶようになって、いつも1割は遊んでいるそうです。蟻も同じだとか・・・この遊んでいるだけの蜂や蟻にも、神の目から見たら大切な意味があるのかもしれないという話を伺いました。本当にそうかもしれません。
 「あいつは怠けてばかりで怪しからん」という思いが私たちの中にあるとすれば、私たちは蜂から学ばねばならないのかもしれません。