作品紹介


 これが、最近完成した最新作です。袖をつけるだけでも、紡いで、織ってとなると、1年以上の年月が必要でした。割に合わないと思われるでしょうか?
 一着の衣類を作るのにどのくらいの時間が必要かと、よく聞かれます? いろいろなことをしながら、空いた時間で少しずづですので、なかなか答えるのが難しい質問です。と言いますか、このような問い自体が、手仕事には馴染まないような気がします。プロセスそのものが楽しいことだからです。遊びのようなものだからです。
 作品はいくらで売れるだろうか?1時間当たりいくらの労賃になるだろうか?と、考えること自体が、現代の思考パターンに毒されている結果と言えるかもしれません。一着、一着の衣類が、愛着のある生涯の宝となっていくのですから、売ることはできません
 暮らすということは、稼いだり、購入したりということではありません。なんでも物を商品としていく風潮に歯止めをかける必要があるのではないでしょうか? いつの間にか自分自身が商品にされてしまわないためにも…
 そして、食べるものと、着るものを中心に、作り出すことに喜びを見出せたら、喜んでいる人の周りには自ずと仲間が集まってきます。そして、助け合い、交換し合う人間関係を築くことができれば、楽しい暮らしがもう始まっています