新しい未来の話:手仕事から自立へ

 被災女性の収入確保として、編み物講座が開かれているという記事が新聞に載っていました(読売新聞7月20日)。完成した編み物は「第3世界ショップ」で販売され、被災者の収入源となっていく取組です。
 このブログで私は、元通りに戻す復興ではなく、新しい未来を作っていく必要があるのではないか、また、脱工業化が必要ではないかと書いてきました。この編み物の取り組みが、一時的な支援事業ではなく、恒常的に続いていく暮らしになれば素敵だと思います。失業率が高止まりの現在の社会状況にあって、雇われ仕事ではない自営業が、被災者だけにとどまらず自立と自由につながると思うからです。
 さらに以前のブログで、海水をかぶった農地で塩害に強い綿を栽培する試みについて紹介しました。報道によれば、この取り組みを支援している企業が、収穫された綿を市価の倍の値段で買い取ることになっているそうです。それでも1キロ1000円です。米と違って、日本では機械化が難しい綿花を栽培する労力を考えると、割に合わない金額のように思われます。善意で農家を支援している企業の取り組みは尊いですし、素晴らしいことです。しかし、問題は、農村が原料供給地となっていることにあると思われます。付加価値をつける加工にも携わってこそ、農村の自立は可能となります。このことこそガンジーが問題とし、解決を試みた課題でした。
 ですから、編み物の取り組みと同じように、糸紡ぎ・機織りなどが、農家の副業として行われるようになったら、素晴らしいのではないかと思います。そして、食べ物だけでなく衣類も賄う農村となった時に、地方の自立が始まるのではないでしょうか?
 それこそ、ガンジーが夢見た未来です。このような新しい未来の発信地に東北がなったら素敵だと、私は思いますし、そのような未来を思い描いて、私は秋田で綿花を栽培し、糸を紡ぎ、作品作りを続けていく決意を新たにしているのです。